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一二 「さわる」「ふれる」

2021.06.23

展示室にて『手の倫理』伊藤亜紗 著の販売をしています。

「さわる」と「ふれる」

日本語にある触感を表すふたつのこの動詞は、普段意識して使い分けることもあまりないだろうし、区別して考えたこともあまりなかったのではないかと思います。

側から見ると「さわる」も「ふれる」も動作としては同じように見えますが、その動作の内側には決定的な違いがあります。そしてその違いを知ることは、知る前と明らかに違う世界を生きることになる。そう成らざるを得ない。

「さわる」という行為は「さわる」側と「さわられる」側、それぞれが一方的な関係にあります。

それに対して「ふれる」は「ふれる」側はふれる対象に「ふれさせて」もらわなければ「ふれて」いるつもりでも実際にはそうではない。

能動態と受動態では語りきれない現象というのがこの世界にはあまりにも多くある、にも関わらず能動態と受動態の概念がこびりついてしまっているが為にその現象をうまく捉えることができないでいます。概念がないために見過ごされてしまっている。

しかし、その見過ごされてしまっているものの中に、自分の中の世界観ががらりと変わってしまうようなことが詰まっていると思います。

「手の倫理」はそこをひらくきっかけとなる本ではないかと思います。

特定の誰かにではなく、毎日何百回と「さわる」「ふれる」を繰り返し続けている僕ら全員の問題だと思っています。

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