雑記
一〇 紙媒体をつくるときに思う事
展示室での企画展を行うとき、大体の場合紙の案内をつくります。
だけれどいつも、これってどうなんだろう、と考えます。
紙の案内をみたことで足を運んでくれる人がどれだけいるのか、体感では一〇〇枚配ってひとり来てくれているかなというところ。実際にはもっと多いかもしれないし、もっと少ないかもしれない。
今、情報を得るツールとしての主役はSNSであることは間違いない。それに紙の案内では情報量を多くすると見難くて見てもらえない可能性もある。それに紙の案内は、その役割が終わってしまえば用済み、処分されることがほとんどでしょう。
できる限り捨てられないものを、飾っても遜色ないものを作ったりしてきました。
そして今回、五月一日からはじまる画家 吉海将宏さんの個展「偏照」の紙案内は、折ることで封筒になるようにしました。
一年前、新型のウイルスが騒がれ出し、緊急事態宣言が出され、店が暇になったとき、幾人かと文通をするようになりました。そしてなかなか気に入る便箋がないことに気がつき、どうしたものかと思っていたけれど「おじいさんの封筒」という一冊の本を知ることで、「自分で作ればいいのか」と至り、それからさまざまな紙で封筒を作るようになりました。封筒であれば、会期を過ぎたとしても使えるので、これだと作る意味はあるのかなと思っています。