雑記

一 うつわをよむ

2020.10.13

陶藝家 金澤尚宜は、日々を、何を想い、作陶するのか。

11の小さな物語とともに、金澤の作品を展示しています。

「ほんとう」

とおくの海は青く ちかづくと透明 なかへ入ればまたあおい

「稜線」

磯の海から潟の海へ変わり 潟の海から山の緑が通り過ぎ

なめらかな山の連なりが目の前に現れる

「猫島」

猫島がある 人より野良猫の方が多いらしい

猫島

「潟が暮れる」

ここは有明海 御輿来海岸

潟が暮れる

「なんでもない日」

なんでもない日は なかなか訪れない

なんでもない日

「僕は石になりたい」

だとすれば 僕は 石になりたい

僕は石になりたい

「あめつぼ」

僕のいく先には 必ずと言っていいほど 雨が降る

あめつぼ

「ものがうまれるところ」

友人たちとの旅の途中 この ましろの世界に降り立った

ものがうまれるところ

「飯碗」

陶藝の世界に飛び込んで はじめてつくったのは 飯碗だった

飯碗

「土」

土に目が無い 土を見ると指で触ってしまう 必ずと言っていいほど

あとがき「灯」

いやはや 我が家の2階には照明がない

展示されている文章を、一部抜粋して掲載しております。金澤の語りを、その妻 幸子が編集した物語は、冷えた手があたたまるような、気持ちの良さと安堵感があります。

ぜひ会場で、ゆっくりと読み、うつわを見詰めてください。

おひとり、ないしおふたりで。

金澤尚宜個展 座談会のお知らせ